ナルドの香油

あなたは私の隠れ場(詩篇32:7)

アビガイルから学ぶ①

 
 
アビガイルは、カルメルという地域で羊3000頭、やぎ1000頭を所有していた事業家ナバルという男の妻でした。
 
ダビデとその僕たちは昼も夜もナバルの羊の見張りをし、泥棒や猛獣から財産を守ってやっていました。
ですから、ナバルは羊の毛の刈り取りの祝いの時、「おかげで羊1匹も盗まれる事なくこの日を迎える事ができた。共に祝ってくれ」と言って、ダビデと僕たちを祝宴の場に招いて当然の立場でした。
 
ところがナバルはダビデのことを「主人のところを脱走する奴隷」呼ばわりし、ダビデのことを激しくののしり、僕たちを追い返したのです。
 
その様子を見ていたナバルの若者たちは、アビガイルの元に走って行って、報告します。
ナバルに伝えても無駄だということを知っていたからです。
 
その話を聞いたアビガイルは、すぐさまダビデと部下たちのために沢山のご馳走を用意して、何頭かのロバに乗せダビデに会いに行くのです。
 
このことから、彼女がナバル一族の食料をしっかり管理していたことが分かります。
しかも彼女は、とっさの時にも迷うことなく正しい決断をし、すぐさま行動に移すことができたのです。
そうしていなかったら、後になってからダビデ自身が認めたように、アビガイルをはじめナバル一族は皆殺しにあっていたでしょう。
 
ここで注目すべきことは、若者たちが当然のようにアビガイルに従ったということです。まかり間違えば彼女も若者たちもダビデに殺されるかも知れないというのに、
若者たちは彼女の前を進んで行きます。
若者たちがアビガイルを尊敬し、信頼していたことが分かります。
 
このように、アビガイルが「聡明」という一言では片付けられないほど知恵深い女性であると分かります。
しかも彼女の財産管理能力、問題処理能力、危機管理能力、指導力、謙虚さ、判断力、どれを取ってもお見事としか言えないことばかりです。
 
これだけを見ても並みの女性ではないと分かりますが、彼女の真価は、
彼女がダビデに告げたところの、全部で8節にもわたるスピーチの中に表れます。
これについては次回扱います。
 
アビガイルはどのようにして、このような人物になることができたのでしょうか?
たまたま秀でた人物だったのでしょうか?
たまたまそのように生まれついたのでしょうか?
私はそうは思いません。
なぜならはじめからできあがっている人物など存在しないからです。
アビガイルもエリヤも私たちと同じ人間なのですから。
 
しかも彼女の夫はナバル、その名のとおりの愚か者でよこしまな者だったのです。
普通の女性ならそのような男と寝食を共にするなんて考えられないことですね。
美人で聡明なアビガイルからすると、ナバルと一緒にいること我慢できないことだったでしょう。触られるのも汚らわしいと・・・。
 
普通の女性なら、ナバルに怯えて萎縮してしまうか、または逆に強い女になって、
赦せない気持ちを抱き続け、とげとげしい言葉をナバルに投げつけていたかもしれません。
 
そうなると、いつの間にか相手そっくりの人間になっていくのです。
やられてはやり返す、夫婦そろって復讐心に満ちた人間になっていたかもしれません。
 
ところがアビガイルは、ナバルと同じ天幕に住ながら、精神的にはナバルと異なる次元に生きていました。
二人は夫婦でありながら、同じカルメルに住ながら、
ナバルは地上的な生活をし、
アビガイルは天的な生活をしていたのです。
 
アビガイルはナバルと同じ食卓につきながら、ナバルとは異なる糧を得ていたのです。
その糧こそ真の糧、真に人を生かす糧でした。
彼女は常に、ダビデのように、全能者の陰に宿る秘訣を知っていたのです。
 
ナバルは事業家であったけれど、アビガイルは実際上の事業主が主なる神であることを知っていたのです。
 
アビガイルはどのようにして、あのような環境で天的な生活をすることができたのでしょうか?
この地上にいながら、どうしたら全能者の陰に宿ることができるのでしょうか。
どうしたら、異なる次元に生きることができるのでしょうか。
ナバルの妻でありながら、ナバルに染まらずにあのような人物になった、その秘訣は何だったのでしょうか?
 
日本には、まだご主人が救われていないで苦しんでいるクリスチャン女性が沢山います。
ご主人のせいで、霊的な生活ができないと思っている女性が沢山います。
 
あきらめないで下さい。まだまだ希望があります。
アビガイルはナバルの妻であったのに、あのような女性に創りかえられたのです。
 
あなたも今の環境の中でこの秘訣を身につけませんか?
 
②に続く